山菜採りの基本

山菜採り初心者が注意すべき違法行為6選!逮捕事例や体験談もご紹介

山菜採りの基本

50代から山菜採りを始める初心者の方が知っておくべき違法行為。うっかりすると犯罪者になりかねないので、山に入る前にどのような法律があるのかしっかり頭に入れておきましょう。以下に山菜採り初心者が注意すべき違法行為を逮捕事例も含めて6つ挙げてみました。

山菜採り初心者が森林窃盗罪で逮捕された場合の罰則と摘発事例

森林窃盗罪とは、森林において他人の山のものを自分のものにしようとした場合に適用される犯罪です。森林法第197条に規定されており、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。

ただし、保安林の区域内で犯した場合は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金になりますし、未遂犯も罰せられますので特に注意が必要です。

また他人の山で山菜を取って自分のものにしたら当然、森林窃盗罪になりますが、樹木、草木類(山菜を含む)、キノコ類、石、岩及び土砂などを持ち帰った場合も森林窃盗罪になってしまいますので気を付けましょう。

摘発事例としては

  • 2019年4月、福岡県八女市内の森林で、許可なくタラの芽を採っていた男性を森林所有者が発見し、警察に通報。男性は森林窃盗罪で書類送検されました。
  • 2018年5月、熊本県菊池市内の森林で、許可なくタケノコを採っていた男性を森林所有者が発見し、警察に通報。男性は森林窃盗罪で書類送検されました。

また、私の知り合いのおじさんも、おじさん所有の山に勝手に入って山菜を採っていたのを発見して警察を呼んだことがありました。

実際は許可なく山菜を採っていても、相当悪質でなければ通報されることは少ないですが、中には何度も勝手に山に入って山菜を採られて、ついには堪忍袋の緒が切れて警察に通報といったことは考えられます。何故かというと、私の周りでもかなりマナーの悪い山菜採りの話をよく聞くからです。

例えば、畑に植えていた山菜を勝手に採っていたので、注意したら逆切れして悪態をついて走り去っていったとか、道路脇の畑に植えていた山菜を勝手に採っていたので注意したら、謝ることもなく帰っていったとか、挙げればきりがありません。

ところで、森林法でいう森林とは、基本的には樹木が密集している場所を指しますが、国有林や保安林は別の法律で規制されていますし、森林法の対象にならないところもありますので、森林法の対象になるかどうかは都道府県や各市町村の林務課などで確認できますので、山菜採りに行く場所が誰の所有かわからない場合は電話などで問い合わせして確認しておきましょう。

また、その場合役所の方も忙しいので、事前にその場所の大まかな住所や地図上でどの辺になるかなど、相手が出来るだけ場所を特定しやすいように準備してから電話などで問い合わせをするようにしましょう。

ただ、特別保護区などでは全ての動物や植物、鉱物等の採取は禁止されていますので絶対に取ってはいけませんが、「国有林でも個人が食べるくらいの山菜は採っても問題ない」というのが、実際のところの関係機関の回答です。

ですので、個人の責任においてということになりますが、国有林で山菜を採る場合は、常識の範囲内で山菜採りをすれば特に問題ないと思いますので、樹木の枝の切断や伐採、ごみの投げ捨て、たばこのポイ捨てなどは絶対にしないようにしたうえで、山菜を採りすぎないようにすることや、私有地の山で山菜を採る場合も、地元の方に挨拶をするなど、マナーを守って山菜採りを楽しみましょう。

 

山菜採り初心者が自然公園法で逮捕された場合の罰則と摘発事例

自然公園法は国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の3種類の自然公園が指定されていて、特別地域や特別保護区などの区分によって建物の新改築や樹木などの伐採が禁止されています。

自然公園法に違反した場合、以下のような懲役や罰金が科せられる可能性がありますので注意してください。

  • (第82条)公園計画に基づく命令に違反した場合1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • (第83条)公園事業に関する許可や届出をせずに行為をした場合6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • (第84条)公園内の天然物や文化財を傷つけた場合6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • (第85条)公園内で狩猟や採集をした場合6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • (第86条)公園内で火気を使用した場合3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • (第87条)公園内で動物を放した場合3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • (第88条)公園内で騒音や悪臭を発生させた場合3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • (第89条)公園内で広告物を掲示した場合3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • (第90条)公園内で飛行機やヘリコプターを飛ばした場合3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

以上が自然公園法の罰則の概要になります。自然公園法の場合も色々と細かく罰則が設定されています。

山菜採りで特に気をつけたいのは、(第84条)公園内の天然物や文化財を傷つけた場合、(第85条)公園内で狩猟や採集をした場合、それと(第86条)公園内で火気を使用した場合についてです。

84条、85条については説明は不用と思いますが、86条については特にタバコを吸う方は持って行かない方が良いでしょう。せっかく山に来たのだからタバコを吸うよりも自然の澄んだ美味しい空気をたらふく吸ってくださいね。

それと(第90条)公園内で飛行機やヘリコプターを飛ばした場合です。

特に最近は国立公園内で、ドローンを飛ばしている場面を何度か目撃したことがありますが、山菜採りに行ってドローンを飛ばすことは無いとは思いますが、こちらも注意が必要です。

摘発事例としては

  • 2019年5月、長野県上高井郡の国立公園特別保護地区で、山菜約30kgを採っていた男女4人を、森林管理署職員が警察に通報。男女4人は自然公園法違反で書類送検されました。
  • 2018年4月、岐阜県高山市の国立公園特別地区で、山菜約10kgを採っていた男性を、森林管理署職員が警察に通報。男性は自然公園法違反で書類送検されました。
  • 2017年6月、静岡県富士宮市の国立公園特別保護地区で、山菜約20kgを採っていた男女2人を、森林管理署職員が警察に通報。男女2人は自然公園法違反で書類送検されました。

つまりは自然公園法が適用されている場所、特に特別地区や特別保護地区などには、どんなに山菜が山のようにあろうとも、入らないことが無難だということです。

うっかり自然公園法の特別地区や特別保護地区などで山菜採りをしようものなら、森林管理署職員に警察に通報されて逮捕ということになりかねません。山菜採りに行く場合は、許可区域をしっかり確認の上で、山菜を採っていい場所で採るようにしましょう。

 

採ってきた山菜を無許可で販売すると違法の場合があります

採ってきた山菜を販売することは違法か?

それは山菜を採った場所や行為、または販売目的で採ることを事前に了解を得ているかによって決まります。

まず山菜を採った場所や行為についてですが、今までも述べてきたように森林窃盗罪にあたる場所と行為なのかどうか。また、自然公園法が適用される場所や行為なのかどうかです。これらが適用される場所で山菜を採った場合や違法行為を行って山菜を採った場合は当然販売することはできません。

そして「販売目的で山菜を採ることを事前に了解を得ているか」ですが、田舎の実家や親せき、知人所有の山で採った山菜は「採った山菜を売ってもいい?」と一言確認しておけば問題ありません。

また、その人たちに紹介していただいて山菜を採りに行った山の所有者の方、山菜採りツアーなどで行った農園や施設の所有者の方には、事前に取った山菜を販売してもよいという許可を得ていれば問題ありませんが、もし許可をいただいていない場合は勝手に販売することは控えましょう。

その他に、入林許可証や入会権で山菜を採る場合もありますが、その場合はそれらを交付している団体に確認して、許可をもらったうえで販売しましょう。

最近ではネットや道の駅などで山菜を販売しているのを見かけることがありますが、もし販売する場合はきちんと許可を得て販売しましょう。またその場合は販売の許可を得ていることを明記しましょう。

 

山菜採り初心者が不法投棄罪で逮捕された場合の罰則と摘発事例

不法投棄罪とは、廃棄物処理法に違反して、決められた場所以外にごみを捨てた場合に適用される犯罪です。

不法投棄をすると、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方の刑に処せられる可能性があります。

私がネットなどで調べた範囲では、山菜採りに行ってごみを捨てて摘発されたという事例はありませんでしたが、産業廃棄物の不法投棄での摘発はかなりの件数がありましたし、件数は少なかったものの一般廃棄物の不法投棄で有罪判決を受けた事例がありました。

山菜採りで空き缶や多少のごみを、「この程度なら捨てたっていいだろう」と捨てるのは絶対やめてください。そこにごみがあると、ここにごみを捨ててもいいんだと思うのか、どんどんごみが増えていくことがあります。

また、自治体などによっては林道の入り口に監視カメラを付けたり、ヘリコプターやドローンで不法投棄を監視したりするところもありますので、今の時代、山の中だからと言って、誰も見ていないというのは間違いです。どこでだれがどうやって監視しているかわかりません。

マナーの項目では「人としてごみを持ち帰るのは最低限のマナーです」と言いましたが、山菜採りに行って山にごみを捨てるということはれっきとした犯罪なのです。

山菜採りに行ってごみを捨てたという話ではありませんが、私の田舎でもずっと昔から山にタイヤやソファー、冷蔵庫に洗濯機などの粗大ごみを捨てる輩がいましたが、廃棄物処理法が出来て不法投棄をすると厳しい罰則に処せられることがわかっているにもかかわらず、今でも捨てる人間がいます。しかも自分の所有する山ならまだしも、他人の所有する山に捨てます。

山菜採りに行くあなたは決して山にごみを捨てることが無いよう、「人としてごみを持ち帰るのは最低限のマナー」ということを肝に銘じて山菜採りを楽しんでください。

 

山菜採りで絶滅危惧種を採取したら逮捕されますよ

50代になって花が好きになってくる方も多いと思います。しかし山菜採りに行くと、たまにとても珍しい植物に出会うことがあり、人によってはそれを採って自宅に持ち帰る人がいます。もっと酷い人は、それが高く売れることを知っており、販売目的で採って持ち帰る人がいます。

日本の植物の7,000種類のうち、1,690種類が絶滅危惧植物だそうです。「人としてごみを持ち帰るのは最低限のマナーです」でも言いましたが、「撮るのは写真だけ。残すのは足跡だけ」という言葉を肝に銘じて山菜だけ取るようにしましょう。

ちなみに絶滅危惧種の採取は以下の2つの法律違反になる可能性があります。

  • 種の保存法:国内希少野生動植物に指定された種は、販売・譲渡・採取などが禁止されており、違反した場合は5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科せられます。
  • 自然公園法:自然公園内の特別地域や特別保護地区などで、指定植物の採取や損傷を禁止しており、違反した場合は6ヶ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられます。

実際、希少植物を採ってきた何人かに話しを聞いたことがありますが、自宅の庭に植えてもなかなか育たない。育てるのが難しいそうです。ですので持ち帰るのはやめましょう。

私が地元に帰ってきて間もない頃、早池峰山の麓のタイマグラキャンプ場の当時の管理人に聞いた話ですが、ハヤチネウスユキソウという早池峰山固有種の絶滅危惧種(絶滅危惧1b類)を販売目的や観賞用として盗掘する輩がいて、年に1回だったと思いますが大掛かりな警察の摘発が行われていました。

敵もさるもので、早池峰山の山開き前は麓のゲートは締まっていて、直径1cm以上はあろうかと思う太いカギで施錠されているのを、油圧カッターで切って入って行って盗掘するそうです。

確かに早池峰山に登ったときに、何か所か盗掘の後を見ました。

その他にも、いまだに全国的にまだまだ絶滅危惧植物や希少植物の盗採掘があとを絶たないというニュースを見かけます。

私は山に行った時に、きれいな花が咲いていると写真を撮ります。その時にいつも思うことは、「この花はこの場所に咲いているから奇麗なのだ。もしこの花を自宅の庭に植えたとしても、こんなに奇麗だと思わないだろう。」と。

だから私は決して山に咲いている花を採ってくることはありません。あなたも山菜採りに行って奇麗な花を見かけたら、写真だけ撮って決して持ち帰ることはしないようにしましょう。

 

山菜採りでのタバコのポイ捨ては過失致死などの犯罪者になりかねません

山菜採りで山に行って、山火事を起こす可能性が高いものとして真っ先に頭に浮かぶのは、タバコのポイ捨てと焚き火の火の不始末です。

タバコは捨てただけで不法投棄罪になる可能性がありますし、万が一タバコのポイ捨てや焚き火の火の不始末で山火事になった場合には大変なことになってしまいます。

もし山火事にでもなってしまうと、多くの消防士や消防団員の皆さんが動きますし、鎮火後の補償も大変です。

それだけで済めばまだ良い方で、もし火災に巻き込まれて怪我人や死亡者が出た場合は、その償いに一生費やすことになりかねません。

以下にタバコのポイ捨てや焚き火の火の不始末で山火事になった場合に適用されると思われる法律を列記してみます。

たばこのポイ捨て:軽犯罪法違反・自治体の条例違反・廃棄物処理法違反・森林法違反(森林窃盗罪)・自然公園法違反・森林失火罪・失火罪・放火罪・過失放火罪・過失傷害・過失致死・そのほかの犯罪

焚火の火の不始末:森林法違反(森林窃盗罪)・自然公園法違反・森林失火罪・失火罪・放火罪・過失放火罪・過失傷害・過失致死・そのほかの犯罪

びっくりですね。私もたばこのポイ捨てや焚火の火の不始末がどのような法律違反になるか調べるまでは、これほどの法律違反に該当するとは思いませんでした。

さらに、重過失(簡単にいうと、ちょっと注意すれば山火事にならなかったのに注意を怠ったり、水をかければ簡単に消せたのに、それを怠ったりしたというような意味です)だと森林所有者から高額の賠償金を請求される場合があります。

こちらは2014年の事例ですが、バーベキューで使った炭火の火が消えたと思い、雑木林へ捨てたことで発生した山火事で、炭火を捨てた会社員が森林法違反の疑いで逮捕されました。炭火がちゃんと消えたことを確認しなかったことが大きな火災につながりました。

また最近ですと、2023年11月に愛媛県大洲市で発生した山火事では、自衛隊などおよそ2000人が消火活動にあたり、発生から7日後に鎮火。およそ20ヘクタールを焼失。こちらの火事の原因はタバコの火の不始末だった可能性が高いといことです。

栃木県足利市で2021年2月下旬に発生した山火事は、鎮火まで23日間かかり、被害面積は約167ヘクタールに及びました。足利市消防本部の調査では、出火場所付近で数本のたばこの吸い殻が見付かったというで、たばこの不始末が山火事の原因と推測されるといことです。

さらにこちらは古い話になりますが、私の父親、86歳が小学生の頃の話しなので、今から75年くらい前の話しになりますが、悪ガキ何人かで山に行って火遊びをしていたら火が燃え広がって、地元の大人たち総出で何とか消してくれたそうです。しこたま怒られたのは当然のことですが、もし今の時代でしたらそんなことでは済まされません。

タバコをやめろとは言いませんが(時代の流れや健康面からみてもやめた方がいいとは思いますが)、山菜採りで山に入るときはたばこは置いて行きましょう。焚火も低体温症になったり、遭難した場合は必要です。ただし緊急時以外はやめましょう。

あなたと自然と他の人を守るためにも、火の取り扱いには慎重すぎるくらいの注意を払って山菜採りを楽しんでください。

 

まとめ

50代になって山菜採りを始めようと思ったときに、マナーは一般的な常識があれば、ある程度は教えられなくてもわかるものですが、山菜採りに行った時に、これは法律違反になるのかどうか判断に悩むことが出てくると思います。

そんなときの判断知識として、少しでもお役に立てれば幸いです。

私は法律を100%守るといことは難しいと思っています。ただ、マナーをしっかり守って常識の範囲内で行動することで、法律の大概の部分はクリアできるのではないかと思います。

法律はあなたを何としても犯罪者に仕立て上げるために作ってはいません。あなたや他の人、そして自然を守るために、みんなが最低限のことを守ろうねということで出来上がったものです。

50代の大人のあなたは、マナーをしっかり守って常識の範囲内で山菜採りを大いに楽しんでください。そして、「この場合はどうかな?」と思ったら、是非この「山菜採り初心者が注意すべき違法行為6選!」の記述を思い出してくださいね。

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