山菜採りの基本

山菜採りでけがや急病になった場合の対処法!私が救急車で運ばれた失敗談も

山菜採りの基本

50代を過ぎてくると、山菜採りの最中に滑落などで骨折したり、カマやナイフで怪我をしたり、また熱中症や低体温症になったりする可能性が高くなってきます。楽しい山菜採りを悲しい思い出にしないために気を付けることや、万が一骨折やケガ、熱中症や低体温症の急病になった場合の症状や対処法、また私の失敗談も記載しましたので、是非参考にしていただければ幸いです。

山菜採りで骨折した事例および症状と対処法

中には若い方もいますが、多くの場合、60代以上の年配の方が山菜採りの最中に滑落や転落によって骨折したという報道をニュースなどで見かけたことがあると思います。以下に、山菜採りの最中に滑落や転落によって骨折した事例をいくつか挙げておきます。

山菜採りの最中に滑落や転落によって骨折した事例

  • 2023年5月21日午後1時頃、長野県白馬村北股入北方の山林(標高1,050m付近)で、ウドを採っていた東京都男性(61歳)が急斜面を滑落。一緒に山菜採りをしていた人からの通報で救助され、長野市内の病院に搬送。滑落した男性は肩甲骨を折るなどの重傷。
  • 2023年5月16日午後3時頃、新潟県上越市清里区赤池の山林で山菜採りをしていた70代男性が斜面を滑落。一緒に山菜採りをしていた友人から119番通報。男性は右腕の骨折と頭部外傷の怪我で市内の病院に搬送。
  • 2023年5月1日午前9時頃、北海道札幌市南区定山渓で山菜採りをしていた20代の女性が滑落。一緒に山菜採りをしていた男性が消防に通報。女性は左腕を骨折した疑いで病院に搬送。
  • 2013年5月6日午前8時頃、新潟県糸魚川市東中の山中で、69歳の女性が友人の女性と2人で山菜採りをしていたところ、ゼンマイを採ろうと座り込んだ際に誤って足を滑らせて斜面から滑落。右足首を骨折するなどの大けが。

以上は山菜採りの最中に、滑落によって骨折などを負った事例ですが、これはほんの一例です。まだまだこのような事例はあると思いますが、ご覧いただけるとおわかりの通り、60代以上の年配の方が多いということです。

50代山菜採り初心者は体力作りから

やはりどうしても歳を取ってくると、若いころと違って足腰が弱くなってきています。私も60代になって、頭では若い頃とそんなに体力に違いがあると思っていませんが、いろんな場面で体力や筋力が落ちてきていることを認めざるを得ません。

50代ではなおさら、まだまだ体力も筋力も若い頃と変わらないと思っているのではないでしょうか?しかし多くの場合、現実は違います。体力、筋力とも若いころに比べると確実に落ちてきています。

でも今のうちから、健康のためにも、そして山菜採りを楽しくするためにも、普段からウォーキングやストレッチ、多少の筋トレなどで体を動かしておくことで、体力や筋力の衰えを遅らせることができます。今日から週3日でも4日でも良いので、楽しみながら体力づくりをはじめましょう。

山菜採りは2名以上が基本

上記の骨折した事例では同行者がいたので消防に通報ができました。ですので、山菜採りに行く場合は最低でも2名以上で行動することをお勧めします。ただ私の場合、ほとんどは単独で山菜採りに行きます。

その場合は、どこに山菜採りに行くのか、また何時頃戻る予定なのかを家族や親せき、友人などに事前に知らせてから出かけるようにしましょう。

そうすることで、万が一怪我などで動けなくて戻れない場合、警察や消防などへの通報も早くできますし、捜索場所を絞ることもでき、早期に発見してもらえる可能性が高まります。

以下は骨折した場合の症状と対処方法です。万が一、山菜採りに行って骨折したかもと思ったら、以下を参考にしたうえで、焦らず冷静に行動してください。

骨折の症状

  • 激しい痛み:骨折した箇所に強い痛みが出ます。痛みが激しく、動かすのが困難な場合があります。私も小学生の頃に腕を骨折したことがありますが、骨折した骨が筋肉に刺さっていたので、とっても痛かったのを覚えています。
  • 腫れ:骨折した箇所が腫れることがあります。私の場合はほとんど腫れませんでした。
  • 変形:骨が通常あり得ない位置に見える場合、その部分が変形して見えることがあります。
  • 機能障害:骨折した箇所を動かすのが困難で、その部分の機能が制限されることがあります。

骨折の対処法

  • 安静にする:骨折した箇所を動かすことで痛みが増す場合があるので、出来るだけ動かさないようにし、安静にするのが基本です。
  • 氷などで冷やす:骨折した箇所を氷や冷却パックで冷やす・・・と言っても山菜採りではほとんどの場合、それらを持っていくことはないと思います。その場合は、持ってきた水や近くに沢などがあれば、その水でタオルなどを濡らして冷やしましょう。
  • 固定する:応急処置として、緊急なので近くにある木の枝などを切らせてもらい、タオルやロープなどで骨折箇所を固定します。

ただし、単独行で携帯電話も通じない場合には、上記の処置をしたうえで(骨折箇所によっては単独では処置できない部位もありますが)何とか動けるのであれば、電波の入るところや車を置いた場所、他の人に助けを求められる場所まで移動しましょう。

火事場の馬鹿力ではありませんが、人間は究極の場面では思わぬ力を発揮しますし、痛みを感じないこともあります。

私は高校生の頃ラグビーをやっていましたが、そのころ聞いた話で、試合中に脚を骨折しても気が付かずに走って、試合後に骨折していることに気が付いたというのを聞いたことがあります。

誰もがそういうことができるとは言いませんが、命がかかっているのであれば、どう行動すれば助かるかを冷静に、そして自分の思考をフル回転させて考え、移動が最適な手段と判断したら、痛みを我慢して行動しましょう。

 

山菜採りでの切り傷や刺し傷の応急処置手順

山菜採りではカマやナイフなどの刃物を使ったり、藪の中を進むこともあるので、折れた枝で切り傷を負ったり、トゲが手などに刺さったりすることがあります。絆創膏を貼る程度で済めばよいのですが、結構な怪我をすることがあります。

そういう時の応急処置の手順や私の失敗例などをご紹介しますので、参考にしてくださいね。

カマで指を切った私の失敗例

5年くらい前に、単独で自宅から車で30分くらいの山奥にある林道の脇で、カマでフキを切り取っていました。フキの頭の方の葉っぱの部分は必要ないので、その近くを持って研ぎたてのスパッと切れるカマでスパスパ切っていたら、なんと軍手をしていた自分の左手の中指まで切ってしまいました。

軍手をそっと取ってみたら、中指の第一関節から第二間接を越え、爪の根元に掛けて切れていました。傷は深そうなのにそんなに出血していません。傷口を開いてみると、なんと骨が見えていました。

私は傷口から出血してこないように、急いでタオルで傷口を強めに縛ってから車を運転して、一旦自宅に戻った後に、そこから30分くらいのところにある県立病院の救急外来に行き、傷口を縫ってもらいました。担当医の話しでは「結構重症でしたよ」ということでした。

これは大した怪我ではありませんでしたが、山菜採りの場合でも何が起こるかわかりません。あなたも怪我には十分注意して山菜採りを楽しんでください。

山菜採りでり傷や刺し傷を負った場合の応急処置手順

以下は山菜採りの最中にナイフやカマ、木のトゲなどによって切り傷や刺し傷を負った場合の応急処置の手順です。

  • 出血を止める:ちょっとした傷なら水で洗浄してから絆創膏(カットバン・バンドエイド・傷バン)などを貼っておけば大丈夫ですが、傷が深くて結構な出血がある場合は、傷口を清潔な布などで強く圧迫して止血します。
  • 出血が止まらない場合:傷口の圧迫を続けながら病院に行くか救急車を呼びます。その場合、傷口が腕であれば心臓より高い位置を保つようにしましょう。
  • 洗浄:傷口を水でよく洗います。もし汚れや異物が付着している場合は、それらを取り除きます。刺し傷の場合、トゲなどの小さいものの場合は抜き取れるようなら抜き取って構いませんが、木の枝先やカマなどの金属の尖ったものが刺さって、抜き取ると激しい出血が予想される場合は、抜き取らないようにしたまま病院に行くか救急車を呼びましょう。
  • 消毒:洗浄後、消毒薬(アルコールやヨード液など)を持っていれば傷口を消毒します。消毒液がなければ洗浄を丁寧に行いましょう。ただし、傷口が深い場合は消毒薬が傷口の奥まで入り込まないように注意してください。
  • 傷口の包帯:傷口が奇麗になったら、ガーゼや奇麗なタオルなどを裂いたもので傷口を覆い、包帯があれば包帯で、包帯がなければタオルなどで代用して固定します。その場合、適度な圧力をかけるようにしながら包帯を巻きますが、きつく巻きすぎて血行を妨げないように注意してください。
  • 医療機関の受診:ちょっとした切り傷やトゲなどの刺し傷であれば、特に医療機関を受診する必要はないと思いますが、傷が深かったり、傷の中に異物が残っていたり、傷口は小さくても刺し傷が深かったりした場合は、何かしらの感染や合併症のリスクも考えられるので、そのような場合は、すぐに山菜採りを中止して医療機関を受診するようにしましょう。

山の中で救急車を呼んだ私の失敗談

ところで私の経験上、山の中では救急車を呼んでもすぐには来ません。

これは山菜取りではないですが、以前、父親がまだ元気な頃に自宅から車で10分程度の山に、父親と椎茸のほだ木を伐りに行った時のことですが、直径20cmくらいの木を伐った時に、伐った木が倒れた反動で跳ね返って、私の顔面に向かって飛んできました。一瞬の出来事だったので、私は体ごと吹き飛ばされ意識を失いました。

焦った父親は携帯電話の電波の入るところまで下山して救急車を呼んだのですが、救急対応の電話の相手にその場所の大まかな住所を伝えても、地図に載っていないのでわからないと言われたそうで、現地までのルートを説明して、なんとか救急車に来てもらうことができました。

実際は山の中なので、救急車は途中までしか入って来れず、現場から救急車のところまでは担架に乗せられて運ばれました。地元の学校まで救急車で運ばれて、そこにはドクターヘリが待機しており、岩手医科大学附属病院のドクターが待ち構えていました。

診察の結果、ドクターヘリで運ぶ程の重症ではないということで、救急車で地元の県立病院に運ばれ応急処置と検査の結果、顔面の打ち身と擦り傷程度で、あとは何ともなかったのでそのまま帰宅してよいということで帰宅しました。

がしかし、次の日の朝起きたら首に激痛が・・・そうです。ムチ打ちでした。その日から約半年、酷いムチ打ちに悩まされ、ほとんど仕事になりませんでした。

ちょっと脱線してしまいましたが、山菜採りに行く時は、私の事例からもおわかりの通り、事前に山菜採りに行く場所の大まかな住所、そこまでのルートを地図などでしっかりと把握しておきましょう。

それと山菜採りの場所に向かう途中、携帯の電波がどの辺まで届いていたか、把握しながら現地に向かうように気を付けましょう。

 

山菜採りで熱中症になった場合の症状と対処法

まずここでは熱射病や日射病も熱中症としてご説明させていただきます。厳密には違いますが、症状や対処法に大きな違いはないので、熱射病や日射病も含めて熱中症とさせていただきます。

熱中症対策の基本

熱中症対策の基本は、脱水症状を防ぐことと、体温の上昇を抑えることです。

脱水症状になると、食欲不振やめまいなどの症状が現れ、それが悪化すると熱中症につながりますので、適切な水分補給をして脱水症状の予防をすることがとても大切です。山菜採りで必要な水分補給は1時間に200〜300mlくらいを目安に頻繁に摂取しましょう。喉が乾いていなくても摂取するように心がけましょう。

また大量に汗をかくことで塩分も失われてしまいますので、出来れば経口補水液などを摂取するか、梅干し、塩昆布、塩分補給の出来るタブレットなどを持参するようにしましょう。

以下に熱中症の症状と対処法を記載しています。熱中症の重症度は大きく軽度、中等度、重度の3段階に分類されます。参考にしていただければ幸いです。

熱中症の症状

  • 軽度の熱中症:汗をかいても体温が上がることがあり、めまいやふらつき、立ちくらみ、倦怠感、足の筋肉がつる、お腹の筋肉のけいれんなどの症状が現れます。
  • 中等度の熱中症:頭痛、悪心、おう吐、ぐったりした感じなどの症状が見られます。
  • 重度の熱中症:意識障害や失神、高体温、激しいめまいや嘔吐、発汗の停止、異常な発汗、全身のけいれん、血圧の低下など重篤な症状が現れます。

熱中症の対処法

  • 軽度の熱中症:この段階では水分や塩分補給を多くしたり、涼しいところで休憩するなどで症状が改善することがありますが、症状が落ち着いたら無理をせずに、山菜採りは止めて下山しましょう。
  • 中等度の熱中症:この段階では水分補給を多くしたり、涼しいところで休憩するなどでは不十分なので、直射日光を避け、冷たいタオルで体を冷やしたり、衣服をゆるめ、あれば氷や冷却パックで首筋やわきの下、脚の付け根などの動脈の近くを冷やすなどの処置が必要です。この場合は、一連の処置と同時に、もしくは処置後すぐに病院を受診するか救急車を呼んだ方がよいでしょう。
  • 重度の熱中症:この段階では一刻の猶予もありません。もし仲間が数人いるのであれば、日陰を作る、体を冷やす、救急車を呼ぶなど作業分担をし、的確に行動しましょう。ただ、いざという時に的確に動けるかというと、なかなかうまくいかないこともあるので、事前に口頭でも良いので、熱中症に対処するためのアクションプランを共有しておきましょう。

上記にも書いた通り、熱中症はとても怖い病気です。熱中症の症状や対処法をよく把握しておきましょう。

熱中症で入院してきたお兄さん

私は40代後半にネフローゼという腎臓の病気になり、20回以上再発して難病指定を受けており、何度か入院も経験しています。

4〜5年前にも再発して、真夏のお盆明けに岩手県立中央病院の6人部屋に入院していた時に、30歳前後のすらっとしたスポーツマンが入院して来たのですが、マラソンの途中で倒れて病院に搬送されたそうです。

その方もやはり熱中症で倒れたそうですが、一見するととても元気でした。しかし、担当医の説明ではかなりの重症で、兎に角水を飲みなさいと言ってました。

そして一週間くらい経った頃に、スポーツマンのお兄さんは相変わらず元気そうでした。

そのためか、お兄さんは担当医に退院したいと話したら、担当医はまだまだ検査の数値が悪いし退院は出来ないと言ってました。

私はお兄さんよりも先に退院したので、お兄さんがどのくらいの期間、入院したのかわかりませんが、私が退院した時点で既に二週間くらい経過してたので、結構な期間入院していたのではないかと思います。

熱中症は重症化すれば、死に至るとても怖い病気です。

体調が優れないときは止める勇気も必要です

山菜採りに行く時は…特に50代を越えている場合は、事前の準備をしっかりすることや体調が優れないなと思ったら止める勇気を持つなど、また山菜採りの途中でも、自分や同行者が少しでも体調が優れないようなら、その時点で山菜採りを止めて引き返しましょう。

無理をして、もし引き返せなくなってしまって救急車を呼ぶ羽目になったら、自分だけでなく同行者や大勢の方々にご迷惑をおかけすることになりかねません。

私の場合、山菜採りではありませんが、救急車にお世話になった経験者だから身を持って実感しています(笑)

私は山から救急車で運ばれた時、後日、私を救助してくれた地元の消防署に菓子折りを持って行きました。

当然、受け取れませんとお断りされましたが、どうしてもと粘ったら署長が出てきました。

その署長は、なんと高校のラグビー部の一年後輩だったので無理矢理渡したら、困った顔をして「それじゃ、個人的にラグビー部の後輩ということで」と受け取ってくれましたが…まずかったですかね?(笑)

 

山菜採りで低体温症になった場合の症状と対処法

山菜採りは地域や山菜の種類によって多少の違いはありますが、一般的には4月頃から6月頃までがシーズンです。

場所によっては残雪のあるところもありますが、春になっているし山菜採りで低体温症になることはないだろうと思うのが普通だと思います。

しかし場所や標高によってはかなり気温が下がることがあります。また山菜採りを兼ねた登山をする人もいますので、標高の高いところまで行かれることもあります。

私も5月のゴールデンウィークに、標高1,000mくらいのところで山菜採りをしていて雪が降ってきたことがあります。

トムラウシ山遭難事故は低体温症による凍死

山菜採りではないですが、近年まれにみる数の死者を出した惨事として記憶に新しいのが、2009年7月16日、北海道大雪山系のトムラウシ山で、登山ツアー参加者15人、ガイド3人のうち参加者7人とガイド1人の計8人が尊い命を落とした、夏山登山としては過去最悪の遭難事故を覚えていますでしょうか。

この最悪の遭難事故は、死亡した全員が低体温症による凍死でした。

山菜採りで低体温症になることは稀だと思いますが、それでも可能性がないわけではありません。先程も申しましたように、ゴールデンウィークでも、ある程度標高の高いところや地域によっては雪が降るほど気温が下がります。また、もしそのような場所で遭難した場合、最低でも一晩は寒い山の中で過ごさなければなりません。

これが登山でしたら装備もある程度準備していますが、山菜採りの場合ですとメインが山菜採りなので、そこまでの準備をしていることは稀でしょう。

近場の山や標高の低いところでの山菜採りでは特に気を付ける必要はないと思いますが、標高の高い山や奥深い山に行く場合は、低体温症への備えも必要であることを頭の隅に記憶しておいてください。

以下に低体温症になった場合の症状と基本的な対処法を記載しますので、参考にしてください。

低体温症の症状

  • 寒さや震低体温症の最初の症状としては体温が低下すると体内の代謝が低下するため、手足が冷たくなったり、震えやしびれの症状などが現れます。。
  • 皮膚の色:皮膚を触ると冷たく感じ皮膚表面が青くなったり白くなったりすることがあります。
  • 動作の鈍化:身体の動きや手足の動きが鈍くなったり遅くなったり、また歩行が不安定になったりすることがあります。
  • 意識の混濁:低体温が進行すると、意識の混濁、判断力の低下、注意力の散漫がみられることがあります。この時点で、すでに重症になっている可能性があります。急いで救急搬送の手配をした方がよいでしょう。
  • 意識レベルの低下:さらに低体温症が進行すると、意識レベルが低下し、最悪の場合には意識喪失や昏睡状態に陥ることがあります。このような状態の場合は、躊躇なく救急搬送の手配をしましょう。

低体温症の対処法

  • 事前のチェック:先ずは天気予報をチェックしてから山菜採りに出かけましょう。天気が下り坂なのか、雨が降るのか、風が強くなるのかなどをチェックします。雪が降らなくても、気温が下がり風雨が強い場合、低体温症になります。
  • 敵切な避難:岩陰や樹木の下など、風を遮ることが出来て、できるだけ乾いた場所に避難します。山菜採りでは余程準備の良い人でなければ、嵩張るのでテントを持ち歩く人はいないでしょう。ただし、標高の高いところなどに行く場合は、いざという時のためにツェルトや3m四方程度のブルーシート、エマージェンシーシート(レスキューシート)などを持参しましょう。
  • 適切な保温:適切な場所に移動したら、ブルーシートなどで風を遮り、あればツェルトを設置し、患者をその中に入れたうえで、エマージェンシーシート(レスキューシート)などで身体の熱が逃げないように覆います。
  • 適切な服装:衣服が湿っていたり濡れていた場合は、衣服は脱がせて下さい。着替えが無くても濡れたものは脱いで、寝袋があれば寝袋に入れて身体を温めます。寝袋がない場合は、出来るだけ乾いた服を着せたうえで、エマージェンシーシート(レスキューシート)などで包んで体温の低下を防ぎます。
  • 食事と水分摂取:外からの体温低下を防いだら、炭水化物(チョコレートやようかん、ゼリー飲料などの高カロリー食)を摂取し、体温を上げるためにエネルギーを補給します。それと同時に水分の補給も重要です。体温が下がると利尿作用が働き脱水状態になります。温かくなくてもいいので、まずは水分補給をする必要があります。ただし、アルコール類やカフェインの入った飲み物は血管を収縮・拡張させる作用があるので飲ませないようにしましょう。
  • 体温上昇の促進:同行者で健康な人がいた場合、お互いを裸にした状態で密着させ体温の上昇を図ります。それができない場合は、なるべく厚着をさせ、顔・首・頭からの熱が逃げるのを避けるため帽子やタオルなどを巻いて保温してください。もし使い捨てカイロやオイル充填式カイロを持っている場合は低温火傷に気を付けて、熱中症と同じように首筋やわきの下、脚の付け根などの動脈の近くを温めるのも効果的です。
  • 熱源の利用:緊急時のために、必ず登山用などの濡れてもつくマッチや風に強いライターを持参しましょう。山火事や火傷に注意して、近くの木の枝や枯葉などを利用して火をおこし、患者を温めます。また、お湯を沸かして飲ませ、さらに水筒代わりに蓋付きのアルミ缶などを持っていれば、それにお湯を入れてタオルなどで包み湯たんぽ代わりに使います。ただし、急激に温めると冷たい血液が身体の深部へと流れ込むため、体幹の温度が下がってしまい死亡してしまうこともあるので要注意です。状態を丁寧に観察し、的確に上記手順を踏みながら対処しましょう。
  • 医療機関の受診:震えがあるうちは、どんな温め方をしても大丈夫ですが、震えていた人が保温や加温をしても暖まらないまま震えがなくなったり、意識がもうろうとしてきたら重症になってきている証拠なので、早急に救助要請をし医療機関を受診させるようにしましょう。

私の低体温症未遂事件

山菜採りではありませんが、私が田舎に戻った翌年、まだ登山のことをよく知らないまま、ゴールデンウィークに、まだ山開きしていない標高1,917mの早池峰山に登ったときの話しです。

頂上で一泊する予定でしたが、頂上までどのくらいの時間がかかるのか、頂上の朝の気温はどのくらいになるのかなど、全く事前の調査もせずに登山してしまって、下手をすれば低体温症になってもおかしくない状況を経験しました。

まだ山開きしていなかったのでゲートは閉まったままでした。そこを朝9時頃出発して、頂上の避難小屋についたのが午後4時近くでした・・・今思うと出発時間が遅すぎですね。

避難小屋には、2人の大学の山岳部と思われる学生が、建物の中なのにテントを出して、その中に寝袋を入れていたので、なんでそんなことをしているんだろう?と不思議に思いました。

夜になって寒くなってきたので、私は一応アウトドアショップで買った3シーズン用の寝袋を取り出して寝ました。

朝方です。寒くて寒くて目が覚めました。携帯していた温度計を見たら、なんと-1℃です。下界は春なので暖かかったので、ここまで寒くなるとは全く予想していませんでした。

さらに寒いので、持って行った固形のアルコール燃料に火をつけてお湯を沸かしてラーメンを作りました。しかし、いっこうにラーメンが軟らかくなりません。

あとで知ったのですが、標高が高いためお湯の沸点が低く、沸騰してもラーメンが軟らかくならなかったのです・・・しょうがないので、硬いラーメンをボリボリ食べました(泣)

結局、ぬるいラーメンでは体も温まらず、そそくさと荷物をまとめて下山して事なきを得ました。今思うと、かなり無謀なことをしていました。死ななくてよかったです。

 

まとめ

登山ならまだしも、自分が山菜採りに行って、最悪死に至るような怪我を負ったり病気になって救急車を呼ぶことなど、誰も予想して出かける人はいないと思います。

しかし、現実には誰でもそういう状況になる可能性を持っています。

私も、まさか椎茸の榾木を伐りに行って救急車に乗る羽目になるとは、全く予想していませんでしたし、カマで指を縫うほど切るとは考えもしていませんでした。

しかし、人間いつ、どこで、どんな目に遭うかわかりません。余計なものを持っていく必要はありませんが、いざという時のために必要なものを吟味して、準備を怠りなくして山菜採りに出かけましょう。

また上記にも書きましたが、物の準備だけではなく、骨折や負傷、熱中症や低体温症などの急病になったときのために、対処法を確認し、同行者がいる場合はアクションプランを共有しておきましょう。

私はよくやりますが、頭の中でその場面を予測し、イメージトレーニングをしておくことも有効だと思います。

東日本大震災の時に、学校や老人ホームでは定期的に避難訓練をしていたので、冷静に行動して助かったという話がいくつもありました。

日頃から訓練やイメージトレーニングをしておくと、事前に課題が見つかったりしますのでおススメです。

ただし、私は山菜採りで熊に遭った時のために、一本背負いや巴投げ、ドロップキックなどのイメージトレーニングをしていましたが、大きな雄の熊に近距離で遭遇したときは、そのイメージトレーニングは無駄だったことを実感しました。この話は、また別の機会に詳しくお話ししたいと思います(笑)

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